DMC
デロリアン DELOREAN MOTOR
COMPANY |

ここに展示してあるデロリアンは、アメリカカリフォルニア州ロサンゼルス郊外にあるDELOREAN ONEという世界的に有名な専門店によって98%新しい部品を使用し、新車同様にレストアされたものの1台です。1981年、北アイルランドのベルファスト郊外に、全く新しく作られた工場で、にわか雇いの腕の未熟な工員が、ヨーロッパ各地から集めてきた低クオリティの部品を使用して組み立てたため、新車のデロリアンの質はかなりひどいものでした。
しかし、ここにあるデロリアンは、長年腕を磨いてきた専門工員が、高品質パーツを使い、現代の技術を駆使して組み直したものであるため、新車から比べても、遥かに高いクオリティをもつものです。日常の足としても十二分に使用することができるだけでなく、世界各地の有名クラシックカーコンクールに出しても1位を狙うことのできるコンディションでもあるのです。
1985年に映画「バック・トゥーザ・フューチャー」のタイムマシンとして一躍有名になったこの車ですが、決して映画のために制作されたものではありません。1981年からの2年間に、8583台が生産され、アメリカで販売されたものなのです。デロリアンはDMC(DELOREAN
MOTORO COMPANY)という会社が作った唯一の車です。
GM(ゼネラル・モータース)次期社長とまで言われたジョン・Z・デロリアンは、大企業GMでの顧客を省みない車作りに嫌気がさし、安全・経済的で、長持ちする「倫理的な車」を作って売りたいと考え、GMを去り(「GMを首にした」と、当時よく言われた)、自分の会社を作ったのです。それも英国によくあるような年間数台生産の小規模なものではなく、年に数万台、さらになんとバスまでも作る大きな総合自動車生産会社を目指したのです。
全く新しい会社であったため、自社で0から設計・生産するのではなく、シャシーはロータスに、デザインはジュージアローに任せました。自社で生産したのはプラスティックのボディとステンレスパネルだけで、エンジンをはじめ各部品は、ヨーロッパ各地のメーカーから供給を受け、組み立てたのです。デロリアン本人は、ガルウィング、ステンレス外装、ノンリトラクタブルヘッドライトという主張だけは通し、このデザインで生産をスタートさせました。
ところが、生産が始まる頃には資金が底を突き、それを回収する為に、出荷を急ぐはめになってしまいました。慣れない工員が組み立てた新車は客に渡すことのできる状態ではなかったのです。客の手に渡ったデロリアンも、クオリティの悪さから、ことごとくトラブルを起こし、瞬く間に評判が悪くなり、当然オーダーもストップしてしましました。
資金回収に翻弄したデロリアンは罠にはめられ、麻薬容疑で逮捕され、会社は倒産に追い込まれてしまったのです。車自体のコンセプトやデザインのレベルはかなり高いものであったため、倒産しても他社によるデロリアンの再生を恐れた人達によって、ステンレスボディのプレス型は海底に捨てられてしまいました。
当時この車の宣伝文句にもあったのですが、全く新しい、正に「夢の車」でした。開発、生産に時間をかけ、値段と品質さえ良かったのであれば、間違いなく大ヒットしたはずです。それでも、社長を罠にはめ、型を海に投げ捨ててしまうくらい、他メーカーにしてみればこの車は驚異だったのです。映画でよくご存知の「タッカー」とほぼ同じ運命をだどった。と言えば分かって頂けると思います。
デロリアンは世界で唯一大量生産されたステンレスボディの車なのです。それだけでも十分魅力的ですが、再生産が不可能で、現存数が限られていることが現在においてその価値を非常に高めている1台と言えます。
|
【解説】
デロリアン・オーナーズクラブ・ジャパン 会長 下原
修
DeLorean Owners Club Japan |
| 展示車両一覧へ
△ |
|
| スペック |
| 型式 |
8583台
(1981年から2年間製造) |
| 全長 |
4267mm |
| 全幅 |
1990mm |
| 全高 |
1140mm |
| ホイルベース |
2408mm |
| トレッド(F/R) |
1590/1588mm |
| 車重 |
1288kg(燃料満タン時) |
| エンジン |
ライトアロイ90度
V6 OHCチェーン駆動
(PRV B28F TUNED FOR VOLVO) |
| 排気量 |
2849cc |
ボア&
ストローク |
91×73mm |
| 圧縮比 |
88:1 |
| 最高出力 |
130hp・5,500rpm |
| 最大トルク |
22.45kg-m/2,750rpm |
| ブロックタイプ |
キャストアイアンシリンダー
ライナー入りライトアロイ |
| シリンダーヘッド |
ライトアロイ、クロスフロー
ヘミチャンパー |
クーリング
システム |
水冷、前方ツインファンラジエター |
| イグニッション |
ボッシュ |
| 燃料供給 |
ボッシュKジェトロニック |
| エンジン位置 |
リア |
トランス
ミッション |
5速MT/3速AT |
| ファイナルライブ |
ダブルユニバーサルハーブ
シャフトトランスアクスル |
| ファイナルレシオ |
344:1 |
| ボディ構造 |
アウター/
ステンレススティール304
アンダー/
FRP(一体整形プラスチック) |
| サスペンション |
フロント/
木等長ダブルウィッシュボーン
コイルスプリング
アンチロールバー
リア/
トレーリングラジアスアーム
アッパー&ロアリンク
コイルスプリング |
| 標準仕様 |
ステンレスボディパネル
ステンレストーションバー
ガルウィングドア
皮シート・トリム
エアコン
4スピーカー
高出力ステレオ
パワーウィンドウ
チルトステアリング(ノンパワー)
電動ドアミラー
集中ドアロック |
|